コーヒーの魔女・ムウと、コーヒーの悪魔・サイフォン執事による心と感情に纏わる物語。


◎サウンド面について
ギターはOーCRAFT(じんさん家テーブルギター)のPOISONテレキャスターギターをメインで使用した。全体の方向性として「尖っているが鋭すぎず」という矛盾みたいなものを意識していた。
悩んだ末、フレーズの複雑さで尖りを出しつつ、従来のFenderJapanテレキャスターでは不足していたミッド以下の部分がPOISONギターには少し含まれていた事で、限りなく理想に近付けた。
今回多用したフレーズのリファレンスはAFØNK & Vincen GarciaのMETEOLAというインスト楽曲で、解放弦+ハンマリング/プリングのやり方次第では不気味な響きだが何処か神秘的なで民族的な印象を感じさせられるのは目から鱗だった。テクニカルなのに、尖り過ぎておらず嫌味を感じさせない。AFØNK は他の楽曲も大変素晴らしく最近の演奏には多大な影響を受けていた。
ベースはいつものmomoseジャズベースを使用したが、今回違うのは弦だ。フラットワウンド弦を張ることで中音のふくよかさやいなたさを出しつつも高音部分が減衰し、鋭さを抑制する事が出来た。しかし音作りや調整が大変で、パワー不足や音抜けの悪さに繋がってしまうのが正直難しいポイントではあった。このように全体のリズム隊サウンドは工夫して丸みを出すことにつとめており、イントロのスネアもタム的な音をレイヤーして鋭さを減らしている。
そういえばこれは余談だが、以前煮ル楽曲のベースのプレベ的な音が良い、と言っている人がいて、確かに使用してるのはジャズベなんだけど自分はよくツマミをプルしてピックアップ回路を変更しプレベ的な音っぽくして弾くのがほとんどなので、この人滅茶苦茶耳が良いなと思った。
悪い魔女、ーペルリニエのテーマとして手掛けるにあたり、ストリングスやコード感で妖しさ・無邪気さ・可愛さ・優雅さのイメージを与えつつ、フレーズや音の構成としてはかなりロックに仕上げた。
裏テーマとして引き算を掲げてもいた。最近作る曲は足し算が多かったので、今回は減らして楽器陣を目立たせようという気持ちがあった。
お気に入りは2サビ終わりの間奏部分で、ギター同士の混ざりそうで混ざらない絡み合いが、MVの2人(人、という数え方は合っていないのかもしれない)の関係を表している様で勝手に熱さを感じていた。

◎歌詞について
ーペルリニエのキャラクターデザインから顔が黒、そこに絵のように表情を描いている→からラテアートやコーヒーを連想した。そのキーワードからイメージを膨らませてくれて、革蝉さんがMVで作品の世界観をしっかり組み上げて下さった。
自分的に魔法や魔女という存在は『幸福』という言葉や概念に密接に結びついてるイメージがあるので、ーペルリニエのキャラクター設定を読んだ時、この題材やモチーフはどんぴしゃに合うなと感じた。自分の心が揺れ動くのを感じた。
というのも、歌詞を書き始めた時はとにかく心が凪というか、日常の何事に対しても煌めくような気持ちに成れないというか、どこかこの世に対して悟ってしまった様な自分が居て非常に恐かったのを昇華しようとしていた躍起になっていた気がする。本来悟ることや、自分の心に平穏を得ることはこの世では望ましいとされるが、外部刺激や心の内を切り取って創作を楽しみ続けてきた自分としては、その凪状態は最悪だった。完全に敵だった。どうにかして抜け出したいと思っていた。だからこそ、まだ自分でも踏み込んでいない未知の領域やインスピレーションを与えてくれたーペルリニエとの出会いに本当に感謝している。烏滸がましいかもしれないが、出会いに来てくれたのだと感じた。
そしてこの曲が生まれた。